いよいよiPS細胞をつかった成功例が出始めてきました。
人工多能性幹細胞(iPS細胞)を分化させた心筋細胞を使って不整脈の心臓モデルの作成に成功したと京都大の中辻憲夫物質-細胞統合システム拠点長らの研究グループが発表した。論文は30日、欧州心臓病学会誌「ヨーロピアン・ハート・ジャーナル」の電子版に掲載された。
不整脈の心筋細胞モデルは、これまでラットやマウスなどの動物の細胞を用いるのが一般的。ただ、人間の心臓とは異なるため、正確な病状の再現や薬剤効果の評価は困難だった。
研究グループは、ヒトのiPS細胞や胚性幹細胞(ES細胞)を分化誘導し、成熟した心筋細胞で直径12ミリ(心筋細胞数約30万個)の円形の心筋細胞シートを作成。このシートの心筋細胞数を減らすとシートが波打ち、人間の不整脈に当たる状態になることを突き止めた。
このモデルに不整脈の治療薬を投与すると、シートの波打ちが消えるなど、効果の再現も確認した。中辻拠点長は「病状を再現するモデルができたことで病状や治療メカニズムの解明が可能になる」と話している。(2012/12/01-09:08)iPS心筋で不整脈モデル=治療法開発に期待-京大
▼不整脈とは
不整脈は、脈が異常に速くなる、あるいは遅くなる脈が不規則になるなどの状態です。脈が速すぎるのを「頻脈」、遅すぎることを「除脈」といいます。
不整脈の種類
動悸には3つのタイプがあります
不整脈は、大きく分けて3タイプ。脈の遅くなる「徐脈」、速くなる「頻脈」、さらに、脈が飛ぶ「期外収縮」です。■ 徐脈
心臓の中で電気信号ができなくなったり、途中で途切れるために起こります。「洞不全症候群」や「房室ブロック」などが徐脈を起こす代表的な病気。■ 頻脈
電気信号が異常に早くできるか、異常な電気の回路ができて電気信号の空回りが起こるときに発生します。「心房細動」、「発作性上室性頻拍」、「心室頻拍」、「心室細動」、「WPW症候群」などが頻脈を起こす代表的な病気です。■ 期外収縮
正しく電気信号ができる場所以外のところから早めに電気信号が出るために起こる不整脈。いわば電気信号のフライングです。このフライング信号が心房から出てしまうのが「心房性期外収縮」、心室から出てしまうのが「心室性期外収縮」です。■ 不整にみえても不整脈でないもの
脈は、呼吸によって速さが変化したり、運動や発熱や精神的興奮によって速くなったりします。これらは一見不整でも病的なものではなく、正常な反応です。不整脈
自己判断せずに不整脈を感じたらまずは病院で診察をしてもらいましょう。
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