私の研究の一つして糖質制限食についてみなさまのためになる動画をピックアップしてこちらのブログにアップしていきたいと思います。
空腹時血糖…70~109mg/dl
食後2時間血糖…140mg/dl未満
HbA1c値は 5.8%(NGSP値6.2%)以下とされています
見かけ上の平均血糖値の改善(HbA1cの改善)だけでは、糖尿病合併症のリスクは防げないということです。
この『上質のHbA1c』という極めて興味深い概念について、私なりに考えてみました。
HbA1cは過去1~2ヶ月の平均血糖値を示しています。
弱点としては、同じHbA1c:6.4%(JDS)で一見コントロール良好の人でも『上質のHbA1c』の場合と『不良のHbA1c』の場合の区別がつかないことです。
例えばHbA1c6.4%でコントロール良好のAさんとBさんがいたとします。
HbA1c:6.4%(JDS)ということは、平均血糖値は141mgです。
Aさんは、薬なしでやや緩い糖質制限食を実践中で、食前血糖値が109mgくらい、食後血糖値が173mgくらいだったとしたら、アバウトには平均血糖値は141mgですからHbA1cは6.4%です。
Bさんは、糖質を摂取してインスリン注射をしていて、HbA1c6.4%というコントロール良好を見かけ上は保っています。
しかしその実態は、過剰のインスリンにより空腹時血糖値が50mgくらいになり、少し糖質が多いと食後血糖値は232mgくらいに上昇しますが、それでも平均血糖値は141mgです。
AさんとBさんは、HbA1cという「平均血糖値」の指標は同じですが、「平均血糖変動幅」を示す指標である
MAGE(1日24時間を通しての平均血糖変動幅)に関しては、AさんはBさんに比し圧倒的に良好な結果となります。近年、MAGE(1日24時間を通しての平均血糖変動幅)が、一番酸化ストレスと相関していて、次が食後高血糖で、それぞれ心血管疾患のリスクとなるとされています。
また、低血糖も急性冠症候群(心筋梗塞や狭心症など)の大きなリスクとなることがわかっています。
従って、同じHbA1c6.4%でも、Bさんの場合は、<平均血糖変動幅の増大・食後高血糖・空腹時低血糖>というの3つのリスクが、日常的な糖尿病治療の中に隠れ潜んでいるわけで、心筋梗塞や糖尿病合併症のリスクも、常に存在していることとなります。
このように分析してみると、糖質制限食でHbA1c:6.4%を保っているAさんは、『良質のHbA1c』であり、糖質を摂取して、インスリンでHbA1c:6.4%を見かけ上保っているBさんは、実際には『不良のHbA1c』ということがよくわかると思います。
糖質を普通に摂取しながら、強化インスリン療法や経口剤でHbA1c:6.0%を目指した群が、7.5%程度のゆるい目標の群より総死亡率が増加したという衝撃的な結果となったACCORD試験が、まさに『不良のHbA1c』の存在の証明と言えるでしょう。
スーパー糖質制限食なら、薬物に頼ることなく「平均血糖値」と「平均血糖変動幅」の両者をコントロール良好に保つことが、多くの糖尿人において可能です。
長期にわたり血糖値が高い状態が続くと身体にジワジワと影響を与えます。ちょっと節制して血糖値が良くなってもHbA1cをみれば過去数ヶ月の状態がわかってしまいます。しっかりと血糖値をコントロールしていきましょう。
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江部 康二
ダイヤモンド社 2011-11-11 |