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がんに対する温熱療法の可能性。温熱療法に取り組んでいる鍼灸院は少なくないと思います。がんの患者さんに鍼灸師に何ができるのか。これは言われたこともありますし、あえて自分への問いかけでもあります。
鍼灸師はがんの患者さんと接することもたまにあります。病院との並行した治療を希望をして患者さんは来院いたします。がんの患者さんにも冷え性や低体温はもちろんのこと腰痛や肩こりといった一般的な症状もお持ちの方も多くいるのです。身体に出ていいる症状に対してアプローチをしていきます。
病院での治療と並行してやることで大きな成果がでることもしばしばあります。以下は兵庫県で医師をしている長尾和宏先生のブログ記事です。メモしておきます。
Nさん(58歳、女性)は、1年前に手術した大腸がんが
全身に転移し、抗がん剤の標準治療を受けていました。
しかしある日、突然、抗がん剤を止めてしまいました。
手足のシビレが、相当辛かったようです。漢方薬の牛車腎気丸や西洋薬のリリカなどを
使いましたが、Nさんのシビレは強烈だったのです。
抗がん剤治療に見切りをつけたNさんは、ネットで
調べた温熱療法の施設にタクシーで通い始めました。最初の何回かは、保険が適応されると喜んでいました。
ご家族も温熱療法への変更に賛成し、応援していました。
温熱療法から帰ったNさんの機嫌がいいからかもしれません。
毎回、実にいい顔をして帰ってこられます。一般に温熱療法は、抗がん剤治療と併用して
効果があると言われています。しかしNさんは温熱療法単独で3カ月ほど過ごされました。
途中から、1回1万円少々かかるのが辛いと言っていました。
温熱療法は、がん細胞が熱に弱いことに着目した治療法です。
がんが体表に近いほど効果があるそうです。体を温めると、それ以外にもいいことがたくさんあります。
免疫機能が上がり、がん細胞を攻撃してくれます。
気分が良くなれば、食欲も出ます。
どこかサウナや岩盤浴と似ています。患部だけをサウナに入れるような感じでしょうか。
副作用が無いのが温熱療法の最大のウリです。
Nさんの腫瘍マーカーは毎月、上昇していきました。
温熱療法ががんに効いたとは言えません。それでも3カ月間、Nさんは満足そうに通われました。
延命効果があったかどうかは分かりませんが、
QOL(生活の質)は上がっていた、と思いました。
費用も免疫療法ほど高くはない点は私も安心でした。
抗がん剤治療を中止して、代替医療に変える
患者さんが時々おられます。それも生き方のひとつとして、自己決定を尊重します。
代替医療と抗がん剤と併用も良し、単独も良し。
私たちは、常に見守る立場です。患者さん自身が納得、満足することが一番だと思います。
治すのは医師でも鍼灸師でもありません。患者さんが持っている治癒力なのです。心気体がそろうと本当に人間は素晴らしい力を発揮します。そろそろ薬だけに頼り、医師の診断、治療方法だけに頼る医療に区切りをつけ、人間が本来持っている生命力を発揮できるような体制を整えていきたいと、医療人の端くれですが想っています。
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長尾 和宏
ブックマン社 2012-07-14 |